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ファクタリングをやめたいときの手順:くり返し利用の費用と、やめるために必要な資金を数字で確かめる

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毎月100万円の請求書を手数料10%で買い取ってもらっている場合、1年間に払う手数料は120万円です。そして、やめる月には90万円の資金が必要になります。ファクタリングをやめにくいのは、意志の問題ではなく、この「やめる月の穴」があるためです。

この記事では、穴の大きさを計算し、それを埋める3つの方法と、公的な相談先をまとめます。自分の数字はやめるための資金の計算機で確かめられます。

机の上の、だんだん低くなっていく棒グラフをペンで指している経営者のイラスト
このページの内容(9項目)

なぜやめにくいのか

ファクタリングは、翌月に入るはずのお金を、手数料を引いて今月受け取る取引です。今月売った請求書の代金は、翌月にはもう入ってきません。そのため、手元の資金に余裕がないままだと、翌月も同じ金額を売ることになります。

毎月300万円の入金がある会社や個人事業主が、そのうち100万円分を手数料10%で売る場合の、月ごとの入金は次のとおりです。

毎月300万円の入金のうち、100万円分を手数料10%で売った場合の、月ごとの入金(例)
売掛先からの入金買取代金(手数料を引いた額)

使い始めた月の90万円は、翌月に入るはずだった入金を前倒しで受け取ったものです。使い続けている月は、使う前より毎月10万円(手数料の分)少なくなります。一度にやめる月は、使い続けている月より入金が90万円少なくなります。これが、やめる月に必要になる資金です。当サイトの試算です。

月ごとの内訳は、使い始めた月が「請求書の相手(売掛先)からの入金300万円+買取代金90万円」、使い続けている月が「売っていない分の入金200万円+買取代金90万円」、一度にやめる月が「売っていない分の入金200万円だけ」です。使う前と、やめた翌月からは、請求書の相手からの入金300万円です。

使い始めた月に、90万円を前倒しで受け取っています。やめる月は、その90万円を戻す月に当たります。使い続けている間は、戻す月を先送りするかわりに、毎月10万円の手数料を払っている、という構造です。

この図と以下の計算は、当サイトの試算です。金融庁と日本弁護士連合会は、高額な手数料を支払うとかえって資金繰りが悪化するおそれがあると注意を呼びかけていますが、月ごとの入金の動きを数字で示した公的な資料は、調べた範囲では見つかりませんでした。

続けた場合の費用

毎月100万円の請求書を売り続けた場合です。

手数料率毎月の費用1年間の費用一度にやめる月に必要な資金
5%5万円60万円95万円
10%10万円120万円90万円
15%15万円180万円85万円

手数料率は、当サイトの業者台帳の集計を目安に置いています。自社で債権を買い取る26サービスのうち、公式サイトに手数料の上限を表示していたのは13サービスで、その上限は9%から20%、中央の値は10%でした(2026年10月2日時点)。

最初に確かめること:手数料を払わなければ黒字か

やめ方を選ぶ前に、次の計算をしてください。

1か月の入金の合計 −(仕入れ、外注、人件費、家賃、借入の返済などの支払いの合計)

入金は、売った請求書の分も、手数料を引かれる前の請求書の金額で数えます(買取代金の額ではありません)。ファクタリングの手数料は、支払いにも入れません。

やめる3つの方法

1. 少しずつ減らす

一度に90万円を用意できない場合は、売る金額を毎月減らしていきます。毎月100万円・手数料10%の利用を、毎月10万円ずつ減らす場合です。

月売る金額その月の手数料その月に必要な資金
1か月目90万円9万円9万円
2か月目80万円8万円8万円
3か月目70万円7万円7万円
9か月目10万円1万円1万円
10か月目0円0円0円

4か月目から8か月目は、表では省いています(同じように、毎月10万円ずつ減らします)。10か月の合計は、手数料が45万円、必要な資金も45万円です。

「その月に必要な資金」は、いまの使い方を続けた場合に比べて、その月の手元で足りなくなる金額です。売る金額を10万円減らすと買取代金は9万円減りますが、手数料も毎月1万円ずつ減っていくため、必要な資金は月を追って小さくなります。

一度にやめる場合と比べると、次のようになります。

一度にやめる毎月10万円ずつ減らす
かかる期間1か月10か月
1か月に必要な資金の最大90万円9万円
やめるまでに払う手数料0円45万円
10か月間の手元資金の増減(使い続けた場合との比較)0円45万円少ない

一度にやめると、やめる月に90万円足りなくなりますが、翌月から毎月10万円が浮くため、9か月で取り戻せます。少しずつ減らすと、1か月の負担は小さいかわりに、減らしている間の手数料がかかります。用意できる資金の大きさで選んでください。

2. 入金と支払いの時期を変える

穴を小さくする方法です。費用がかからない場合があります。

3. 費用の低い資金に置き換える

やめる月の穴を、融資で埋める方法です。手数料として払っていたお金が、返済に回ります。

90万円を借りて一度にやめ、1年で返す場合の計算例です。利率は、計算のために仮に年15%と置いています(特定の融資の利率ではなく、下の表の公的な制度の利率でもありません。実際の利率は借入先と審査で決まります。利息制限法の上限は、元本10万円以上100万円未満で年18%です)。

ファクタリングを続ける90万円を借りてやめる
毎月の支払い手数料10万円元金の返済7万5,000円+利息(最初の月は1万1,250円)
1年間の費用手数料120万円利息の合計 約7万3,000円
1年後同じ状態が続く返済が終わり、毎月10万円が残る

ただし、融資には審査があり、返済の原資になる黒字が必要です。使える可能性のある公的な制度は次のとおりです。利用できるかどうかは、各機関の審査で決まります。

制度対象主な内容
日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」外的な要因で一時的に業況が悪化し、中長期的には回復が見込まれる方。要件の1つに、売掛金の回収条件の長期化や支払条件の短縮化がある国民生活事業の融資限度額は7,200万円。運転資金の返済期間は10年以内(うち据置期間3年以内)
日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」商工会議所や商工会の経営指導を受け、推薦を受けた小規模事業者融資限度額2,000万円。返済期間は10年以内(うち据置期間2年以内)。無担保・無保証人
信用保証協会の借換保証信用保証協会の保証がついた借入が複数ある方複数の借入を1本にまとめ、月々の返済を軽くする

収支が赤字の場合

手数料を除いても毎月の収支がマイナスの場合は、資金の調達より先に、出ていくお金を減らす手続きと、公的な窓口への相談を進めてください。どれも、資金が尽きる前のほうが選択肢が残ります。

借入の返済条件を変えてもらう

金融機関からの借入がある場合、返済額を一時的に減らす、返済期間を延ばすといった条件の変更を、取引のある金融機関に相談できます。

政府は、内閣総理大臣や金融担当大臣など関係大臣の連名で、官民の金融機関に対して、既存の借入の条件変更や借換えについて、申込みを断念させるような対応を取らず、事業者に寄り添って迅速かつ柔軟に対応するよう、くり返し要請しています(2025年11月27日、2026年3月27日。金融庁が公表)。2025年3月18日の要請文によると、2020年3月10日から2024年9月末までに、官民の金融機関が条件変更などの申込みに応じた割合は99.2%でした。個別の申込みが認められるかどうかは、金融機関の判断によります。

税金と社会保険料の猶予を申請する

納められない税金や社会保険料を滞納のままにすると、延滞税・延滞金や差押えにつながります。猶予の制度があります。

対象制度申請の期限猶予の期間申請先
国税換価の猶予(一時に納付すると事業の継続が困難になるおそれがある場合など)納期限から6か月以内原則1年以内所轄の税務署
厚生年金保険料など換価の猶予納期限から6か月以内1年以内管轄の年金事務所
地方税換価の猶予自治体の条例で定める期間内(東京都は納期限から3か月以内)1年以内都道府県・市区町村

いずれも、認められるには要件があり、猶予の間も分割での納付が必要です。ほかに滞納がある場合は認められないことがあります。期限を過ぎる前に、窓口に相談してください。

公的な窓口に相談する

窓口できること費用
よろず支援拠点資金繰りを含む経営の相談。国が47都道府県に設置無料(何度でも)
中小企業活性化協議会収益力の改善や、金融機関との返済条件の調整を含む計画づくりの支援。全都道府県に設置。事前予約制、秘密厳守相談は無料
商工会議所・商工会経営の相談、マル経融資の推薦商工会議所は地域で事業をしている方であれば原則無料

専門家と一緒に資金繰りの計画を作る費用には、国の補助があります。認定経営革新等支援機関(国の認定を受けた税理士や金融機関など)の支援で計画を作る場合、早期経営改善計画策定支援では費用の3分の2が補助されます。金融機関との返済条件の調整を伴う本格的な計画には、経営改善計画策定支援(405事業)があります。補助の上限額や手続きは、中小企業庁のページで確認してください。

やってはいけないこと

契約そのものに疑問がある場合

手数料が請求書の金額に比べて著しく高い、請求書の相手が支払えないときに買い戻す約束がある、といった契約は、実質が貸付けと判断されることがあります。その場合は、払った手数料の扱いが変わる可能性があります。確認する点は偽装ファクタリングの見分け方にまとめています。判断がつかないときは、弁護士に相談してください。

相談先

2026年10月2日時点で、各機関の公式ページで確認した内容です。連絡の前に公式ページをご確認ください。

窓口連絡先と受付時間相談できること
よろず支援拠点各都道府県の拠点(連絡先は全国本部のページに掲載)資金繰りを含む経営の相談
中小企業活性化協議会各都道府県の協議会(連絡先は中小企業庁のページに掲載)収益力の改善、返済条件の調整
日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル0120-154-505。平日9:00〜17:00(創業を考えている人、創業して間もない人、個人企業・小規模企業は、平日9:00〜19:00)。沖縄県で事業を営む場合は、沖縄振興開発金融公庫へ融資制度の相談
金融庁 金融サービス利用者相談室0570-016811(IP電話からは 03-5251-6811)。平日10:00〜17:00金融機関の対応についての相談。個別のあっせん・仲介・調停は行わない
日本弁護士連合会 ひまわりほっとダイヤル0570-001-240。月曜〜金曜(祝日を除く)10:00〜12:00、13:00〜16:00弁護士との面談の予約(電話での相談は原則として受け付けていない)

この記事の計算について

出典

更新履歴

困ったときの相談先を、状況別にまとめた一覧があります

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